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松山家庭裁判所 昭和31年(家)519号 審判 1957年3月04日

申立人

法定代理人兼申立人

相手方

中山富子(仮名)

中山照子(仮名)

川上清三(仮名)

主文

相手方は申立人に対し昭和三一年一月一日以降昭和三二年一二月三一日まで毎月金一、〇〇〇円宛、また昭和三三年一月一日以降申立人が成年に達するまで毎月金七〇〇円宛をそれぞれ支払え。

昭和三一年一二月一七日発令した本件の臨時処分に従つて相手方が既に支払つた金員は、第一項にもとづいてこれを弁済したものと看做す。

第一項の各金員は松山家庭裁判所に寄託してこれを支払うこと。

理由

昭和三〇年一二月二〇日になされた本件申立理由の要領は、

申立人の母照子は昭和二八年二月頃から相手方と内縁関係を結び、同居したり別居したりの状態であつたが、相手方の母の反対で正式に婚姻できないまま昭和三〇年五月○○日申立人を出産したところ、相手方は同年九月○○日申立人を自己の子として認知した。ところで申立人は相当の生活費を要するのであるが資産収入がないのに加え親権者照子もまた無資産無収入で申立人を養育することができない。それで申立人は相手方に対し毎月三、〇〇〇円宛の扶養料の支払いを求めるため本件調停申立に及んだ。と言うのである。

審査するに、

申立人主張の身分関係は記録中の戸籍謄本及び同抄本によつて明かであるところ、調査の結果によれば、申立人及び親権者照子は現在ともに無資産無収入で、右照子の実姉のもとに身をよせているのに対し、相手方は○○○社に勤務して毎月二二、〇〇〇円位の収入を得妻と子(昭和三一年八月生)の三人で生活している事実が認められる。それで申立人に対しては養育料相当の扶養料を支給する必要があるところ、相手方はこの扶養料全額を負担する能力がない訳でもないけれども、親権者でない相手方にその全額を負担させることは必ずしも公平と言えないので、親権者がその姉のもとに同居している点並びに将来親権者が職に就いて若干の収入を得るであろう点等を考慮すると、相手方は右扶養料のうち本件申立がなされた月の翌月である昭和三一年一月以降二年間は毎月金一、〇〇〇円宛、その後は申立人が成年に達するまで毎月金七〇〇円宛を負担するのか相当であると考える。

また本件については既に臨時の処分がなされているので同処分に従つて支払つた金員はこの審判にもとづいて弁済したものと看做すを相当とし、更に本件扶養料の支払いは所謂寄託支払いを相当と認めるからそれぞれ主文のとおり審判する。

(家事審判官 山田義康)

(別紙仮の処分審判書略)

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